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研究・調査

富山産業保健総合支援センターの調査研究コーナー

平成15年度
富山県事業所における有害化学物質の使用と障害予防対策の実態
主任研究者 富山産業保健推進センター 相談員  藤澤 貞志
共同研究者 富山産業保健推進センター 相談員  鏡森 定信
      富山産業保健推進センター 相談員  和田 巌 
      富山産業保健推進センター 元相談員 青島 恵子
                     (現 萩野病院)
      富山産業保健推進センター 所 長  加須屋 實

1 はじめに
 富山県内における有害化学物質の使用実態と安全衛生管理体制・健康障害予防対策の現状を明らかにした。

2 調査対象と方法
 調査対象は、富山県内の食品製造業と縫製業関係
を除く製造業とした1,373事業より749事業場を選んだ。従業員50人未満の事業場については、内4地域産業保健センターの登録事業場の中から上記条件の事業場286事業場を選び、合計1,035事業場にアンケート用紙を送付した。最終的に325の回答を得た(回収率31.4%)。
化学物質を使用している事業場は,50人以上144事業場、50人未満76事業場、計220事業場だった。
 障害予防対策全般に関する分析は、220事業場について行った。

3 結果と考察

(1)有害化学物質の障害予防対策の実態
富山県は製造業7千社、建設業8千社ほどある。
そのうち286社(1社で数業種あるので延べ295業種)について化学管理の実態をアンケート調査した。法定で定められた安全衛生の職務の選任率は高い。作業主任者は有機溶剤で57%、特定化学物質で36%の事業場で選任されていた。衛生管理者は97.7%、であった。安全衛生推進者も10人以上50人未満の事業場で82%選任されている。産業医は97%選任されている。安全衛生委員会は97%,安全衛生計画は96%あるが、化学物質管理計画は全体として19.6%である(表1)。全体換気は50%、局所換気77%に比べ空気清浄装置は32.5%であった。
MSDS(化学物質等安全データシート)の提供は68%あるが、そのまま掲示は23%、書き直して簡単にして掲示が17.5%である。
化学物質管理促進法〓平成11年法律86号により排出物が届けることになった。この調査では113社―全体の39.5%〓報告しており、富山県内で平成14年度に報告された575件の5分の1にあたる。特殊健康診断を行っている事業場は58%あり、その結果81%が作業環境、作業を改善している。化学物質管理についての研修は56%で行われている。27%で行われていない。 MSDSが購入先から提供されているのは化学工業87%、プラスチック87%、紙加工品73%である。廃棄物処理に独自の回収装置を持つところは鉄工業38%、紙加工品36%、化学工業32%である。化学物質管理の研修を行っているのは化学工業83%、鉄工業63%、金属製品61%である。化学物質管理について従業員300人以上の事業場が整備されている。

(2)化学物質の使用状況
回答中に示された化学物質を、「有機溶剤」「鉛及びその化合物」、「特定化学物質」、「特別則で規定されている以外のMSDS通知対象物質」{MSDS通知対象物質(特別則以外)}、前記のどの分類にも入らない「その他の化学物質」の5群に分けた。有機溶剤(有機則)の使用がもっとも多くは全体で80.5%の使用状況だった(表2)。
採録できた化学物質数は397物質であった。
全体で、有機溶剤(有機則)は54物質中45物質、特定化学物質53物質のうち32物質が使用されていた。 MSDS通知対象物質(特別則以外)は全体で146物質が使用されていた。その他の化学物質は、ハイテク関係物質を含み 173物質が記録された。使用化学物質の種類は化学工業で多かったが、医薬品製造業でのそれが特に多彩だった。

表1 化学物質管理計画について

表2 使用されている化学物質の種類

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