企業外での化学物質管理 ―PFAS(有機フッ素合成化合物)を例に―
令和6年4月から、事業場の化学物質管理者や保護具着用管理責任者の選任を義務とした化学物質管理制度がスタートした。制度の基盤であるSDS(Safety Data Sheet)は平成12年から義務化されている。法令による特定化学物質を規制に従って管理する指示型のやり方が、各企業が自社のリスクを認定し管理する欧米並み(国際化)の自主管理になった。
但し、自主管理では済まない事態も生じる。米国の大手化学メーカー・デュポンの工場排水の水道汚染がきっかけで露呈した新たな産業化学物質PFASの発がんリスク(裁判で救済は決着)などはその例であろう。日本でこの物質を使用していた大企業がデュポン社との絡みで国の機関に相談し、今回は我が国の対策が可及的に速かった。
そのモニタリングで、沖縄の米軍基地周辺(泡消火剤)、東京、神奈川、大阪などの河川、地下水、海底などで高濃度汚染が公表され、東京では浄水場で基準を超える値が測定された。その後、野菜やヒトの血液の汚染も報告された。富山では県や富山市などが地点を設けて測定し公開しているが、基準値を超えたものは無い。県内の企業の研究資金も得ながらこれを研究している県立大の黒田准教授の測定でも同様だ。
ダイキンのPFAS使用削減とそのための顧客対応のごとく、企業(発生源)での管理に加え、企業外汚染に至る場合もあり、公害対策とコミットした対応も必要になことがある。