【所長のコラム】/鏡森定信

オミクロンと絶対湿度

 ウイルスによるものに限らず呼吸器感染症の予防には空気環境が大切である。英国保健省は、冬季の室温16℃以下は危険、18℃が許容、21℃を推奨している。湿度では、わが国の事務所則の相対湿度40%がある。この%は、その時の温度で空気中に最大に含むことのできる水蒸気量に対するその時に実際に含まれている水蒸気量の割合である。したがって、室温10℃の湿度40%と室温20℃での湿度40%では、実際に含まれている水蒸気量(絶対湿度)は、それぞれ3.8g/m3、6.9g/m3と異なる。インフルエンザウイルスでは、この値が11g/m3なら殆ど不活化され安全、7g/m3なら80%程度不活化との報告がある。室温20℃で11g/m3は相対湿度65%、7g/m3は45%に相当する。
 冬季の低温と乾燥はオミクロンが入り込んで増える喉の粘膜を傷める。過去10年間の富山の2月の外気の平均気温は3.4℃、湿度78%(絶対湿度5g/m3程度)である。私の経験では、富山の一戸建木造家屋の冬季の暖房前の寝室は10℃以下、湿度50%(絶対湿度5g/m3)以下であり、安全域をかなり下回っている。室温を20℃近くにし、さらに湿度を50%近くまで上げることを奨める。これが難しければ、マスクを着用して喉の加温加湿に努めたい。マスクは微細飛沫とともに浮遊するオミクロンの吸引を防ぐだけでなく、低温で乾燥した外気から喉を守る。但し、マスク内に水蒸気がこもり過ぎ皮膚トラブルを起こすこともあるので、時々はずすなど注意が必要。

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