【所長のコラム】/鏡森定信

職場でのつながりと健康

 新型コロナの流行下で感染抑制に伴う“社会的孤立”の影響が危惧されている。
富山県では、青壮年期女性の自殺増加率が全国的にワースト クラスとなって耳目を集めた。
 “社会とのつながり”の指標としてのソーシャル・キャピタル(Social Capital; SC.社会関係資本)は、一般的に、①つきあい・交流、②社会・人に対する信頼、③社会参加の3要素のアンケートで調査され、内閣府からも都道府県別にそれが公表されている。2001年のそれは、同じく都道府県別の65歳以上の女性の平均余命(2000年)と有意に関連(相関係数;+0.4)していた。同年の平均寿命との関連も調べたが女性だけ有意な相関係数(+0.34)であった。
 フインランドの公務員の追跡調査では、SCがよい職場では身体的・精神的健康への好影響がみられた(Okanen T, et al. Am J Public Health .2011;101:1742-8)。この調査では、8のSC項目が使われており、上記の3要素に照らして例示すれば、①には、仕事に関連した事柄や問題について情報を共有している。②、お互いに理解し認め合っている。③、職場には共に働こう、という姿勢がある。となる。
 人間関係(環境)が神経内分泌系を介して健康に作用する筋道も解明されていきている(菊水健史.群れの機能と「安心」の神経分泌内分泌学.J J Animal Psycology.2018,68:1-9.)
 ストレスチェックも3年を経ており、SCの項目などの追加の工夫があってもいいのではなかろうか?

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