職場の「学級閉鎖」 -風疹対策―
これまでにない風疹の流行に警鐘が鳴らされている。
風疹ウイルスに対する抗体を有しない妊婦が、妊娠20週くらいまでにこのウイルスに感染すると、胎児の目や耳、心臓に障害をもたらす先天性風疹症候群の発生の危険が高まる。
風疹ウイルスは、飛沫感染や接触感染によって人から人へと伝染する。ウイルスをもらった人が皮疹や発熱を呈しない不顕性感染(15~30%にみられる)であっても伝染する。
予防にはワクチン接種以外に有効な対策はない。これまでのワクチン接種施策のミスマッチでこのワクチン接種を受けていない、すなわち抗体を有しない割合の高いのは30~50歳代男性で、風疹に罹る危険度は当然ながら高い。軽症だと休まないことが多いので通勤途中や職場で人に伝染する。このような危険性があることを察知した場合には職場でも妊婦を保護する対応が必要となる。
妊婦を休ませるのはもちろんだが、妊娠している可能性のある女性がいるなど、場合によっては、インフルエンザでとられる「学級閉鎖」のごとき対応も必要になってくる。学級閉鎖は、学校医の意見を聞きながら校長の責任で行われる。職場の風疹対策にあっても産業医との綿密な連携が必要となる。