【所長コラム】鏡森定信

パタハラを克服する両立支援を!

 平成28年度雇用均等基本調査では、女性の育児休業取得者の割合は81.8%、その過半数は1年6ヶ月以内で時短の利用は少数であった。
一方、男性のそれは3.16%でほとんどが6ヶ月以内で時短であった。まずは10%越えを目指す国の目標には程遠い。男性の育児休業が普及しない理由として、賃金の7割弱の育児休業給付金で収入減になることに加え、男性のこの種の取得に対するいじめや、反発というパタニティハラスメント(パタハラ)の存在も無視できない。
 出産率の低下を食い止めているフランスでは、1ヶ月近い有給休暇を完全取得し、2週間の産休を過半数の男性が取得している。
当然休暇が多くなるので、職場では、例えばチームごとに月間業務や出勤プランを作成するなど各人の多様な休暇に対応した就業ソフトの更新に余念がない。また、それをチーム全体に見える化しチームで共有している。まさに職場の情報共有と相互支援である。
 各人の休暇の取り方を包摂しながら生産性を低下させない就業ソフトの更新には人工知能レベルのIT支援も必要であろう。
また、ワークシェアリングによる新たなスタッフも必要になるかもしれない。
 ガンの両立支援が唱導されているが、命を育むという最も根本的な面での両立支援をおろそかにできない。

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