ストレスチェック制度の運用状況と産業医の関わり
厚労省によれば、平成 29 年6月末現在、ストレスチェック制度の実施が義務付けられた事業所のうち、監督署に実施報告書を提出したのは82.9%で、 全11業種では93.2%の金融・広告業をトップに、最低は67.0%の清掃・と畜ついで68.2%の接客娯楽業となっている。
労働者では、78.0%が受けており、医師の面接指導を受けたのは0.6%、事業所規模別では50~99人で0.8%、1,000人以上では0.5%であった。医師による面接指導は32.7%の事業所で実施され、50~99人規模では22.6%、1,000人以上では85%となっている。そのうち事業所の選任産業医が行ったのは79.1%で、残りの15.1%は外部委託先の医師、5.8%は事業所の選任以外の医師であり、大半が選任産業医によってなされたことは、職場の今後のストレス対策の進展に期待を抱かせるものである。また、努力義務の集団分析の実施率も78.3%と高かった。先行の調査研究によれば、「職場の支援」の不備がストレス要因として特に重要で、例えば、孤立しにくい状況をつくる(1つの作業は2人以上で担当)や定期ミーティングでコミュニケーションを促す(上司と部下、部下同士)などが指摘されており、選任産業医の出番である。
このような状況下で、産業医の身分保障や中立性を担保する制度の改善案が出てきており、注視していくことが必要である。