寒暖差疲労の産業衛生
10月に入って朝は涼しいどころか肌寒くなるのに日中は夏日で25度を超え30度近くになり、それさえ超えることもある。
一般に、前日との気温差や、1日の最高気温と最低気温の差が7度以上あるときに起こりやすくなるといわれる「寒暖差疲労」だが、今秋はそれが生じやすい日々が続いている。体の冷えやだるさ、体の節々の痛みやコリなど不定愁訴的な症状で、体温の恒常性を守る調節機能の過労に伴う症状と考えられている。暑い時には体表面の血管を拡張し熱を放出し、足りなければ汗をかいて下げる。寒い時には血管を収縮させて放熱を抑える。これらは自律神経によって調節されている。暑気と冷気による差異が大きくなる初秋に自律神経が酷使されるというわけである。これを専門にするクリニックの医師たちによれば、コロナ禍のリモートワークや外出の減少で自律神経機能が低下していると、「寒暖差疲労」が起きやすくなるという。初秋だけでなく寒暖差に常時留意の必要な作業を有する職場もある。
運動不足は自律神経機能の低下をもたらす。その解消に努めるとともに、ぬるめのお風呂に10分程度入りゆっくり体温を上げ、その後冷気で体温を下げるか20℃くらいの水足浴を行う温冷交互浴は自律神経訓練になる。これは風邪の予防にも効果がある。