【所長のコラム】/鏡森定信

学校のコピペ事故

 建設業の三大事故とは、「墜落」、「重機接触」、「倒壊・崩壊」で、繰り返し起きることからこれらは建設業のコピぺ事故と言われている。
 今夏は、学校でプールの水入れ替えの際に、満杯になった後の水道栓の閉め忘れの事故が例年より目立ってきており、学校でのコピぺ事故と言われるまでになった。何しろプールの容量は大きく、時間当たりの給水量も相当に大きいので、栓の閉め忘れによる過剰使用料は500万円近くまでになる例があるという。その負担額だけでも教育現場にとって大問題である。
 もともと多くの学校にプールを設置する契機になったのは、昭和29年の木造遊覧船内郷丸沈没事故(修学旅行生22人死亡)や昭和30年の宇高連絡客船の紫雲丸と宇高連絡貨物船の第三宇高丸の衝突事故(船客166人死亡;その多くが、婦人、子供、修学旅行生)が立て続けに起き、多数の修学旅行生が溺死したことにある。水中で浮き、泳げるよう教えておきたいということで設置が全国に広がったという。
 そのプールの水質や設備の管理という極めて専門性の高い業務が学校の先生方に日常的に任せられている。学校の安全・健康管理は学校医・産業医の大事な仕事である。学校教員の業務過剰が社会問題になっている。各校のプールの運営管理がどのようになっているか、プールの必要性・利用法も含めて検討されるべき課題であろう。

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