防災士の産業医からみた震災対応
能登半島地震後6か月を経ても生業復興が困難な状況にある。震度の大きさと被災地の自然・社会的要因が復興に影響するのは論を待たないが、日ごろの備えの程度も大きく影響することは想像に難くない。
先日(2024.7.9)、富山県産業医会研修会で、富山市郊外で開業し防災士としても実践を積んでこられた野田隆志医師の講演があった。
ほとんどの企業にはそれなりに災害対応マニュアルはあるが、災害時にはほとんど役に立たないことが多い現状を話された。① 災害時といえども企業にとっては事業の継続(BCP)の優先度が高い、②あらかじめ決めてあった担当者配置は災害時にほとんど役立たない、③スタッフの人と人との日常的なつながりとトップの指揮が要である。の3点が印象に残った。液状化被害を受けた企業の経験などから、地勢や作業からみた自分達の企業の災害の危険について産業医も入って企業内で話し合いを持つことの有用性も指摘されていた。「忘年会や夏祭りがあったり、スポーツやその他の倶楽部があったりする地域や企業は、それがないのと比べて復興が速い」、すなわち人のつながりの基盤(ソーシャルキャピタル)の存在の重要性に言及されていたのが特に印象に残った。
防災士の野田医師も地域の納涼祭の企画実行の要として地域に根付いておられた。