【所長のコラム】/鏡森定信

世代間ギャップ; 若者の「共感障害」の増加?

 世代間ギャップに悩む経営者や上司が多い。彼らは、挨拶の習慣化、共感の必要性、作業内容や目標の明確化など、その道の専門家が説くことに沿って努力している。私自身も傾聴と共感についてコーチング教室などで何度か学んだ。しかし、が、その大切さは理解できるもののもう一つそれが近年なぜ強調されるようになったのかもやもやしていた。
 脳科学者でエッセイストの黒川伊保子さんが、“挨拶を返さない、適切なタイミングでうなずかない、会議などの準備や後かたづけをしない、など「当たり前」とされることができず、職場の上司や仲間をイライラさせる若者が多くなってきていて、それは「共感障害」の一つだと解説していた。この障害は一種の脳の認識のトラブルで、自分の置かれた状況を脳が十分認識できないのがポイントで、人々との交わりの中で「暗黙のうちに学ぶ」ということができていない為だという。デジタル社会で増加してきていると注意を促していた。
 こういう人がいると、上司や周囲の仲間が、「気が利かない」「やる気がない」果ては「性格が悪い」と思いこみ、プライドがつぶされたと感じると職場の人間関係が悪くなることにさえなりかねない。黒川さんは、決めつけるのではなく、その認識のしかた「認識フレーム」の世代間ギャップ(違い)を理解し、彼らにも分かるように説明し、一緒にやってみたりして包摂的態度をとれば、お互いが楽になると諭していた。IT時代、世代間に限らずこの種のギャップに一層留意する必要があろう。

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