目の未病と魚・野菜果物
現代は殊の外、目を酷使している。20年程前、魚をほとんど摂取しないので血清中タウリン濃度が富山の半分位しかない中国内蒙古医学院の学生に協力を得て、タウリン1日1000mg服用の効果を網膜電図で調べた。パソコン打ち込み作業に対し抗疲労作用を確認した。開眼時、休むことなく細胞間に電気シグナルが飛び交う網膜には、細胞膜安定効果のあるタウリンが体内で一番高濃度に局在している。富山の調査では、タウリンの半分は魚から摂取されていた。特にイカ、タコ、貝類に多い。タウリンには、降圧作用や抗高脂血症作用などの報告もあり、30数か国が参加した国際研究では、富山の尿中タウリン排泄量は世界トップクラスで、その量が多い所ほど心筋梗塞死亡率が少なかった。
紫外線は白内障につながる職業リスクでもある。野菜果物などビタミンCの摂取量を5分割して5年間追跡調査したところ1番多く取る群の男女では3~4割白内障の発生が低かった(Eur J Nutr. 2007年46巻)。
緑内障(多数を占める原発開放隅角型)では、野菜から多くとられている硝酸塩が1日当たり80mgの群に対して240mg群(日本の平均摂取量に近い)では2~5割発生が少なかった(JAMAオンライン版2016.1.14号)。硝酸塩は、血管を拡張させ神経伝達をスムーズにする一酸化窒素を生み出し緑内障予防に有益と推測されている。
目の酷使の時代、その未病に食物からもアプローチしたい。