禁煙後の体重増加による健康リスク
4人で禁煙したら4人とも10Kg太った、合わせて40Kgの増加ですと職場健診で答えた人がいた。禁煙率が引き続き漸減しており、禁煙後の体重増加は結構話題性のある健康テーマである。これについては質問も受けたこともあるが、データは持ち合わせていなかったので、喫煙よりは害は少ないでしょうと苦し紛れの返事をしていた。
このことについて登録者17万人余りを平均19年間追跡した3つの大規模追跡研究の分析の結果が国際誌(EJM; 2018年)に載った。禁煙後の体重増加は2型糖尿病の発生率を高めるというのがその結論である。禁煙後6年間が特に高く、その発生率は対照に比べて68.4%上昇した。それは体重増加が大きいほど上昇し、体重増加が無かった群では発生率の上昇は対照と比べて差はなかった。一方、心血管や総死因の死亡率は禁煙後の体重増加群でも年々減少し、体重増加が少ない程その減少は大きく、全体で半分位に減少した。
したがって、2型糖尿病の発生率は禁煙による体重増加で高まるが、心血管疾患やガンなどによる死亡率は低下し、寿命の延伸につながることが示された。
禁煙のみならず禁煙後の体重増加のコントロールを含めた喫煙対策が必要となる。