【所長コラム】鏡森定信

障害者や高齢者の雇用率が高い農業

 官公庁や50人以上の経営体等においては障害者の雇用が義務付けられている。平成28年にはこれらの経営体等で47万人余りが雇用された。産業別にみた障害者の雇用率では、医療・福祉の2.43%がトップ、次いで農業の2.32%であった。その他に法定雇用率の2.0%を超えたのは、生活関連サービス・娯楽の2.11%、電気・ガス・熱供給・水道の2.05%、そして運輸・郵便の2.00%だけで、全産業のそれは1.92%だった。また、法定雇用率をクリアしている経営体の割合でみると農業では64.4%とトップで、次が医療・福祉の61.8%であり、全産業では48.8%と半数に至っていない。農業の健闘が目に付く。

 障害者害者の雇用は年々増加しており、障害別では身体障害者が過半数を占める産業がほとんどであるが、農業では知的障害者と精神障害者がほぼ半数を占め身体障害者数とほぼ同数であり、近年発達障害などの精神障害者の増加率が大きい。これらには、農作業そのものの特性や就労者に占める65歳以上の割合が大きいこと(平成27の国勢調査では、全産業の11.4%に対して農業は49.3%と抜きんでてトップ)などの要因が関与していると思われる。

 就労者50人未満で農業に取り組む経営体も増えている。障害者や高齢者の働き甲斐のある分野として「命を守る産業」とされる農業の位置づけの強化が必要である。

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