【所長コラム】鏡森定信

労働者の休息・睡眠の確保としての勤務間インターバル

勤務開始から終了までの労働時間規制で進んできた我が国において、今度は勤務終了から勤務開始までの休息・睡眠時間を確保しようとの動きが出てきた。勤務終了後から次の勤務開始時までの連続休息時間(勤務間インターバル)は、労働者の健康の維持増進のみならず、ワークライフバランスの面からも極めて重要である。週の労働時間の上限はクリアしていても夜勤明けの朝から引き続きその日の勤務に組み込まれるなど勤務間インターバルを無視した働き方は、医学的にも社会的にも弊害の大きいことが明らかになっている。

但し、このインターバルは労働現場で独り歩きするものではない。

例えば、久保(労働安全衛生総合研究所)によれば、EUの労働時間指令(2003/88/EC)には、このインターバル導入は、①週の労働時間は、残業も含めて平均して48時間を超えないこと、②6時間以上の勤務では、休息時間をとること、③7日ごとに連続24時間の休息時間をとること、④年に少なくとも4週間の有給休暇を付与すること、⑤平均して労働時間は24時間につき、8時間未満、夜勤者の8時間以上の重労働や危険業務の禁止、夜勤者の無料健康診断受診の権利、健康上の理由による日勤移動の権利といった保護規定とセットになっている。

時間的な面から過重労働に具体に対処していく指標である。

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