「健康経営」の極みはサイコロジカル セキュリティか?
生産性の向上につながることからも「健康経営」が流行っている。
米国で、実在する企業における賃金、業務量、上司や同僚の支援、福祉制度、業務評価、研鑽機会などありとあらゆる指標を集め、これらと企業の生産性の関連のビッグデータ解析では、サイコロジカル セキュリティ(Psychological security;心の安定と訳されている)のみ企業の生産性と関連したが、他のどの指標とも統計的な関連はみられなかったという。例えば、上司や同僚の支援などは有意な関連を示すことは考えられるが、全体的にみた米国企業の現状を示唆するものであろう。
ジョブ セキュリティ(Job security;雇用の安定 )、すなわち失業の恐れがないことは、労働者の健康管理面でも重要であることは論を俟たない。欧州労働市場では10年近く前から始まっている単年度雇用の繰り返し原則禁止の次年度からの施行はその点からも評価できる。
企業経営の面から健康管理も個々の労働者から職場全体(集団)へ、そして内容も量から質への転換が一層必要となっている。労働者個人の取り組みからサイコソシアル(Psychosocial;心理社会的)アプローチが強調される所以である。