SDS、イタイイタイ病、天皇のお言葉
SDSによる化学物質のリスクマネージメントの好事例が産業保健21(85号、28年7月)に載っている。棚卸に加え試供品まで含め現場で総ざらいし、リスクの見える化とその全員の共有を奨めている。
イ病の原因のカドミウムは、被害発生当時は、リスクのマネージメントの対象にはなっていなかった。被害者団体がいくつかの機関に水質検査を幾度か依頼したが、そのたびに「飲料水として特別問題は無い」との回答であった。%レベルのカドミウムは測定できてもppmレベルは検知できなかった時代だった。カドミウムは鉱山から放流された。
昨年10月24日両陛下は、イ病資料館のご訪問を希望し来館された。ご説明中に、「公害は大変難しい」と漏らされた。ご説明後呼ばれて両陛下と3人で10分間お話しできた。治療法、対策事業、公害教育などに話が及んだ。ここでも天皇は、「公害は大変難しい」と発せられ、皇后が「光と影がございますからね」と追加された。
リスクには測定限界以下や未知の物質もあることを認知しておく必要がある。「予防の原則」(国連環境開発会議のリオ宣言;1992年の15条)に沿った被害発生予防の点からもマネージメントを点検する必要があろう。
陛下からは、「イ病公害を世界にもっと伝えるように」との諭をいただいた。